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17話 甘え技でメイドから聞き出したワクワクする噂

Author: みみっく
last update Huling Na-update: 2025-11-02 06:00:46

 レイニーが恐る恐る手を伸ばすと、フィーの顔は徐々に赤くなり、耳まで真っ赤に染まっているのが分かった。そっと触れると、肌はすべすべで、しっとりと吸い付くような柔らかさだ。「なにこれ……癖になりそう♪」そう思いながらも、ふと我に返る。「あ、でも……他の人に見られたら……ヤバイよね」

「あのさぁ……これ、他の人に見られたらダメなやつじゃない?」

 レイニーは、そう言いつつも遠慮なくフィーの柔らかな頬をぷにぷにと触り続けながら、小声で尋ねた。

「そうですね、未婚の女性が……異性の方に肌を触らせるのは、ダメですね……。でも二人だけですし、レイくんですし」

 フィーはそう言って、照れたように微笑んだ。「俺だから?」その謎の言葉に、レイニーは詳しく聞きたい衝動に駆られたが、聞いたらきっとダメな気がして、それ以上は踏み込まなかった。

♢ルナとフィーとレイニー

 それからというもの、フィーは客室に泊まるようになり、レイニーの元へ頻繁に遊びに来るようになった。表向きは、ルナに会いに来ているという名目らしい。名目上、ルナに会って二十数分ほど紅茶を飲み、お菓子を食べて会話を交わし、レイニーの居場所を聞き出す。そして「相談がある」と告げてルナの部屋を退出すると、レイニーに会いに来るというのが、彼女のいつものパターンだ。

 最近では、ルナとフィーも笑顔でレイニーの話で盛り上がることもあるらしく、二人の仲も深まったようだ。まれに三人で紅茶を飲むこともあるのだが、レイニーにとってはそれが非常に居心地の悪い時間だった。

 ルナと仲良く話をしていると、フィーがムスッとして不機嫌そうな顔をするし、逆にフィーと仲良く話をしていると、ルナがムスッとして、肘でレイニーの脇腹を突いてくるのだ。

♢秘められた宝物庫

 この世界に来たばかりの頃、レイニーは好奇心に駆られて、宝物庫や貴重なアイテムが保管されている場所について尋ねたことがあった。いくつか教えてくれたものの、他にもありそうな雰囲気を察知し、レイニーは得意の「甘え技」を繰り出した。最初は渋っていたメイドだったが、膝の上に座ってさらに甘えると、ついに口が軽くなった。

 話してくれた内容は、城の地下室が厳重に封鎖され、一切の立ち入りが許されない場所であるということだった。そこには財宝や珍しいアイテムが保管されているらしい。レイニーは財宝にはさほど興味がなかったが、珍しいアイテムや不思議な力を持つアイテムには強い好奇心を抱いていた。想像するだけで胸が高鳴り、ワクワク感が全身を駆け巡る。「どんなものなのだろう? 機会があれば、ぜひ見てみたいなぁ〜」と、その思いは日増しに募っていった。

 そして今日、その機会が図らずも訪れた。妹の友達が遊びに来ており、遊びの流れで追いかけっこのような鬼ごっこが始まったのだ。妹たちに追いかけられ、逃げ惑ううちに、レイニーは城で厳重に立ち入りが禁じられていた宝物庫へと続くエリアに、警備兵の目をかいくぐって入り込んでしまった。

 いや、これは……偶然だ。ぐ・う・ぜ・ん! だって、場所までは聞いたけど、その先の詳細は知らないと言っていたし。追いかけられて、仕方なく……立ち入り禁止エリアに入っちゃったんだから。

♢地下への誘い

 城の地下には、特別な宝物や危険な物を封印している厳重な部屋があり、その存在は限られた者にしか知られていない。この部屋は城の奥深くに位置しており、部屋への入口は広間の片隅にひっそりと佇む石造りの階段に繋がっている。

 階段の入口には、二人の警備兵が微動だにせず、厳重な警戒を続けている。彼らは重厚な鎧に身を包み、鋭い眼光で周囲を見張っていた。長年の訓練と経験からくる緊張感と決意が、彼らの表情にはっきりと浮かび上がっている。手には長槍が握られ、その先端はまるで獲物を狙うかのように鋭く研ぎ澄まされていた。

 階段は薄暗く、ひんやりとした冷たい風が壁の隙間から漏れ、肌を撫でる。一歩一歩階段を下るごとに空気は徐々に重く冷たくなり、緊張感が一層増していく。両脇には古びた燭台が設置されており、揺れる蝋燭の炎がかすかな光を放っている。その光が壁に不気味な影を落とし、まるで何かが潜んでいるかのような雰囲気を醸し出していた。

 階段を降り切ると、目の前には頑丈な鉄の扉が立ちはだかっていた。扉には複雑な魔法陣が幾重にも刻まれており、その上には古代の文字が読み解けない形で書かれている。魔法陣は淡い青白い光を放ち、その封印の強大な力を誇示しているかのようだ。扉の周囲にはさらに幾重もの結界が幾重にも張り巡らされており、不用意に近づく者を拒絶しているのが見て取れた。

♢忍び寄る影

 レイニーは瞬時に不可視化の魔法を使った。彼の手から淡い紫色の光が広がり、まるで闇に溶け込むかのように体がゆっくりと透明になっていく。これは、後になって闇属性の影移動の初級魔法だと知ることになるのだが、その時はただただ自分の体が消えていく感覚に密かな興奮を覚えていた。

 不可視化が完了すると、レイニーは音もなくスッと警備兵の間をすり抜け、彼らのすぐ横を通り過ぎた。

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